完全に締め切られた室内。
月は雲に隠れ、蝋の光が僅かに照らす薄闇。
部屋の中央には布団が一枚敷かれていて、そこにぼんやりと浮かぶ二つの影。
「くっ…あっ……」
耳を澄ませば僅かに聞こえる呻き声。俯せに尻だけを高く上げた体制で涙を零す、小さな体がそこにあった。
腕は拘束され、後ろから伸びる手には背中を押され。身動きが取れずただ声を漏らすので精一杯。
時折聞こえる粘着質な音がグチャリ室内に吸い込まれ、同時に吐かれる喘ぎ声が段々と蜜を増す。
「えらい吸い付くなぁ……」
ケラケラと。
下で喘ぐ子供を嘲笑う。
その手には男のそれを象った模型が握られていて、出したり抜いたりを順々繰り返す。
「ぅあっ……くっ、そ…っ……」
次第に早さを増す挿入に、漸く馴れ始めた時。
「……もっと声聞かせてや」
「……!!うあっ…!」
キツく握られる幼根。
ゆっくりと擦られ、ダラダラと蜜を零し。
「あっ、ああっ……くっ」
同時に襲う二箇所の刺激。
足に込められた力が徐々に失われていく。
ガクガクと震えながらも耐えてはみたが、ペタリと開いた足は崩れ落ちた。
「あかんて。尻、上げ」
グイッ、と。
幼根を握った腕で下腹部を持ち上げられ、再度同じ格好へと戻された。
「痛っ…くそっ…!!」
「威勢のええことで」
結局、繰り返される遊戯。
心と体がバラバラになってきた。
頭では拒絶をしても、体が勝手に快楽を追ってゆく。
「あぅっ……ひッ…あぁっ…」
声色が変わった。
市丸は瞬時に読み取り、口角を吊り上げる。
と、同時に。
「あああっ…うあっ、あ、ああっ…くっ、はぁっ、うっ」
器用に両の手を交互に動かし、先走りの零れるそこを重点的に攻め上げた。
「っっ……ああぁぁぁっっ!!」
勢い良く飛び出す精液。
下の口に咥えていた玩具がネチリ、卑猥な音を立て抜き取られた。
熱も収まればぐったりと布団に倒れこみ、それを見つめる市丸は自身の手に付いた蜜をぺろぺろと舐めていた。
「ころ……殺してやる…」
呟きの様な、小さな声。
それでも市丸には十分聞こえて。
「……へぇ」
あかんなぁ……そう言葉が届く前に、伸びてきた大人の腕に少年の細い首は掴まれてしまった。
「ぐッ…」
首を絞められ起こされて、頚動脈を押さえられれば呼吸もままならず涎を垂らし。
「あかんて。殺すとか、自分できひんやろ?」
「ぅッ……かはっ…」
「僕が、君を、殺そか?」
簡単やで?
市丸は能面を崩さずに笑いかける。
気味の悪い笑いと共に、カサリ布の擦れる音が耳に届く。
日番谷の喉を握る反対の腕が、気付けば高く上げられていた。
――ガツッ!!
「ッ…!」
勢い良く殴られ、体格差のせいか容易に壁へと飛ばされた。
後頭部と顎に鈍い痛みが走り抜ける。
声も出さずに下を向く少年。こんな位で気絶なんてするわけがない。
銀糸の綺麗な髪を鷲付かみ顔を上げさせて、軽く覗き込めば透き通った翡翠に一閃、睨まれた。
殴られた衝撃で口を切ったのか、タクリと血を零す小さな口が僅かに開き。
「嫌い…だ……も、やだ……」
泣きそうな声で。
消えそうな声で。
睨んでいた瞳も節目がちに下を向き戻らない。
嫌い。は、もう慣れた。
嫌われて当然の事をしている。
でも、
「日番谷はん大好きや。愛しとる」
綺麗な顔を汚す血液を舐め上げて、拘束していた腕の紐をそっと解いた。
「君だけや…」
そっと抱きしめれば、ほら。
無言で回される、少年の腕。
僕の背中へしっかりと回し、顔を胸へと埋めてくる。
これが、僕の愛し方。
君という存在を束縛できる、唯一の方法。
End
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