足りない


足りない



体が疼く。

まだ足りない



ハッ、ハアッ…。

繰り返し聞こえる荒い息。
それに重なる水音、皮膚の弾く音。


銀髪を揺らす少年は男の首に腕を回し、男は少年の腰を支え、上へ下へと動かして。
コンクリートの上で事情に更ける二人。

回りに人なんて居らず、閑散とした教室。



「ああっ、んっ…」
「っ冬獅郎…気持ちいいか……?」

ダクダクと蜜を垂らし、男のそれを咥えて離さない下口。
何度も突き上げられ、降ろされ、どれだけやっても吸い付き、求める。

「くろさきぃっ…もっと欲し…」
「っ!……あんま締め付けんな…出るだろっ」

既に何度か少年の中へと欲を流し込んでいるのだろう、二人の太股を伝う白濁は床へと広がり模様を彩っていた。

「黒崎っ……」

瞳から涙を零して、火照りに艶めく顔を近付ける。

これはキスの合図。
男は直ぐに重ね、絡めとり、長い長い口付けを交わし。

「やぁっ…んっ」

求めて来た少年の方から唇を離す。
それは何時もの事。
全てに対し、求め、突き放しまるで無意識に誰かと重ねて映してる様に。

だから唇を交えた瞬間、違う感覚に拒否をするのではないか。

「冬獅郎…?」

不安に名を呼んで。
少年は快楽に躍り声なんて聞こえない。

「……っ、早く…忘れろ…」

男は己の存在を刻み混む様に、深く深く。

「あぁっ…ぃ、あっ…ひゃあっ……」

少年は、あの人の存在を忘れる様に喘いで啼いて。

何度快楽に達しても、満たされない。最後に残るは闇より重い虚しさだけ。





お前が欲しい。



お前が足りない。

End


無意識に市丸を求めて一護と重ねてしまう冬ちゃんと、冬が自分を見てない事を分っていながらも、でもやっぱり見て欲しい一護くん。
報われない恋と判っているのに判ってない二人。

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