昼も当に過ぎ少し小腹の空くおやつ時、十番隊舎へと遊びに来た藍染はここの隊主の口許を眺めていた。
「シロ…何食べてるの?」
「飴」
簡潔に。
コロコロと口内で転がしながら、書類を片付ける。藍染はその仕草を微笑みながら静かに見つめ。
「……無いぞ」
「ん?」
「飴、俺ので最後だ」
別に何も言ってないのに。
プッ。突然の可愛い台詞に思わず噴出した。
そんな事言われたら、やりたくなるだろ?
たった一個の飴玉を。
僕も味わうその方法。
「あ〜あ。僕も欲しかったな」
「残念だったな。無いものは無い」
「……あるよ。そこに」
そう言って、向かい合わせに顔を近付ける藍染。
少年は少し驚き身構える。
そんな事は気にはせずまだ幼い輪郭をそっと撫で、緩やかな曲線を描く顎に手を。逃げない様に固定して、軽く口を開けさせる。
これで準備完了。
「ふぅっ?!んんっっ」
カラン…コロン。
「んっ…ぅんっ」
「……結構甘いんだね」
真っ赤な顔の日番谷と、満足そうな顔の藍染。その口はモゴモゴと動いており、チロリと見せた舌のそこからは少年より奪った桃色の飴。
「泥棒…」
「恋泥棒って言って欲しいなぁ」
「阿呆っ」
End
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