会いたければ、直ぐに会える。
直ぐに会えるけど、その距離は余りにも遠い。

近距離恋愛



「日番谷はん、元気してはった?」
「……お前こそ、顔色悪いぞ?」

白く輝く満月が煌々と照らす、ここは学校の屋上。制服姿に身を包む日番谷を抱き締める影が一つ。

「日番谷はんの事考えてたせいで寝不足や」
「俺は悪くないぞ」
「うん……。でも今日は良う眠れそう」
「……俺も」

一緒の時間を過ごす時は、必ず互いの体温を確かめ合う。
遠すぎて、普段は触れる事が出来ないから。

会える時間は本当に僅かなんだ。
恋しい気持ちが常に許容範囲を超えている。
日の光に嫌われたかのように、俺達が会う事を許されるのは常に真夜中。
白い服に身を包む目の前の男は、その闇に吸い込まれて消えそうなほどの儚い視線。

「明日も会いたい……」
「うん」
「無理ならいいんだ」
「必ず来る。日番谷はん、待っとってな」

会いたければ、直ぐに会える。
直ぐに会えるけど、その距離は余りにも遠い。

互いに課せられた、残酷な運命に背かぬ様、それでも心は彼だけの為に。

己を抱き締める暖かな手は、確かな愛を伝えてくれる。



その体温だけが、この微妙な距離を繋いでいた。

End


近かろうが遠かろうが、愛に距離は関係ないぜ☆って事で。

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