『お互い、隊長だから』

『最近、忙しくて』



君はよく、こう言うね。

君の忙しいって何?


執務の事?



それとも、『逢瀬』の事?





今、僕の目の前に居る君は……



「裏切りだね……」

偶々廊下を歩いていた。
何をする訳でもなく、ただ暇潰しに。
すると、極僅かだが知れた霊圧。感覚を其方へ集中させ、人物の特定。

二人。
僕の良く知る、二つの霊圧。渡り廊下から見える、雑木林のずっと奥。重なって感じるのは、寄り添い合っている証拠。



瞬歩を使い、その場に急ぐ。
すると予想通りの背中が見えて。

ぽつりと出たその言葉と共に、込上げて来るこの感覚に僕の目の前は紅く染められた。





雑木林を越えた所に、綺麗な小川。

同じ髪色のその二人は三と十の羽織を靡かせて楽しそうに笑っている。
僕の存在には全く気付かずに、まあ、霊圧を消しているから当たり前だけど。

「君は僕のモノだろう?」

無意識に出た言葉。
それは思った以上に響いたらしく。

同じタイミングで振り返る銀髪二つ。先程まで笑っていた余韻なのだろうか、朱に染まった頬を此方に向けて。

「あ、藍染っ」

くりくりと大きな翡翠が僕を捉える。

「何をしてたんだい?」

怒りを悟られない様に、得意の笑顔で安心させて。
可愛い僕の恋人と並ぶ男は面白くなさそうに、僕を睨む。

この場で殺したって良いんだよ?
僕のモノに手を出したらどうなるか思い知らせてやるのも良いかも知れない。

「ほな日番谷はん、僕はこれで」
「ああ。ありがと市丸」

そう言って男は隊舎へと戻る道を歩いていった。





「藍染っ」

ぽふっ。
男の影が無くなるのを確認した日番谷は藍染の元へ駆け寄り、腰の辺りに抱き付いて来た。
素直に愛しいと思ったので、答える様に抱き締める。

「楽しそうだったね。何をしてたんだい?」

もう一度、確認。
すると少年はニンマリと笑顔を見せ、手を差し出した。

そこにはキラキラと光る真っ白な、ただの石が一つ。

「これは何?」

差し出された石ころに疑問の声。
少年は、相変わらずの笑み。

「綺麗だろ?」
「え…あぁ、綺麗だね」

座って。
少年に言われ素直に従う。でも砂利の上は痛いので、木を背に草の上へ。それに乗っかる様に座れば、視線は同じ高さへと並ぶ。

楽しそうに、嬉しそうにその石を眺める日番谷。そんなにあいつと居た時間が楽しかったのか。僕の笑顔もそろそろ限界。

「シロ…」
「それっっ!!」
「え?!」

指を指され、大きな声。驚く僕に少年は言葉を続ける。

「この石、綺麗な白色だろ?」
「そうだね」
「俺もシロ、こいつも白。同じ感じがして」
「うん…」
「なんか藍染が側に居てくれてるみたいで好き」

好きと言って貰えるのは喜ばしいが…

「お前にしかシロって呼ばせてないから」
「そうだね」
「だからなんか大切」

袖を使って綺麗に磨くその姿が愛おしく、強く抱き締めた。だけどあの憤りは収まってはなく、無理矢理顔を引き寄せ深く口付けをした。

「ふぅっ…んっ…」

鼻に掛かった声が漏れる。
何とか逃れようと僕の胸を押すその手を掴み更に深く舌を入れ、絡み取り、口内を荒す。

「んんっ…」

徐々に力の失せる体。
漸くと言っていいだろう、口を開放してやる。

「はぁっ、はっ……藍…染?」
「如何してギンとここに居たんだい?」
「綺麗な石持って来てくれて…何処って聞いたらここに案内してくれた」
「ふ〜ん…」

確信犯か。
気が抜けないな。



君は僕のモノって事教えないといけないみたいだね。



「ねぇ、シロ。僕が怒ってるの……判る?」





「やぁっ…あぁっ、ひゃぁっ」

子供独特の少し高めの声、甘い嬌声に混じる水音。

「ほら、ちゃんと膝に力入れて」
「やっ、無理っ…ああぁっ」

ガクガクと体を小刻みに震わせ、少年の雄からは抑えれない蜜が溢れる。
下の口は藍染の指を三本も咥え、上の口では執拗なまでの接吻。

誰かに見られているかもしれない。
そんな恐怖と戦いながら、襲い掛かる快楽にそろそろ少年の思考も麻痺し始めた。

「あっ、はぁっ…イ、クっっ」

絶頂を促す言葉。
ヒクヒクと指を咥えた口が伸縮しだす。

「ダメだ」

開放まで後僅か。すると、聞こえたのは酷く冷めた声。涙を溜めた翡翠の瞳は、どうして?と語り掛けてくる。
其れを嘲笑う男。

「僕は怒ってるんだよ?何でか判るかい?」
「わかん…ない」

小さな手で僕の羽織を握り締め、一生懸命考えているのであろうその理由。

「判らないならこれで終りだ」
「やっ…なんでっっ」

今まで留まっていた涙が頬を伝い落ちる。其れだけで自分の雄に熱が篭る。

この顔を見て、興奮しないヤツは居ないだろう。

だから大変。
この子に自覚をして貰わないと。君は誰のモノなのかを。



誰も手出し出来ない様に。


この子自身に印を付けよう。





「…教えて」
「ん?」
「怒ってる理由教えて…。もう二度としないから」

如何してそんな可愛い顔をするのか。怒っているのは事実なのだけど、優しく優しく抱き締めたい気持ち。

段々と心が温かくなってきた。

「もう良いよ」
「え…」
「君は僕の恋人だろ?」
「うん」
「それだけ憶えていて。君は僕のモノ」
「……判った」

コクリ。頭を擡げ頷いた。

「じゃ、ご褒美をあげないとね」





君はまだ判らないんだろうな。
嫉妬と言う醜いモノを。

本当は閉じ込めておきたいけど。


視界、聴覚、四肢。
全て塞いで僕だけの人形。


暗い暗い闇の中。
静寂だけが支配する世界で。


僕と二人っきり。
そうすれば、君は完全に僕だけのモノ。



でも、今は未だしない。
だから印を付けよう。





君は僕の モノ その印。

End


藍日は、日番谷<<<<藍染<<<<日番谷が好き^^(意味不明)

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