「……夢、か」
喉元の不快感に手を添えれば、しとどに汗を流し指を濡らした。
喉の渇きに重い体をギシリと起こし、障子戸から覗く朝日に気怠げに髪を掻き毟る。
「今更……」
行く先を別ったあの日から、お前は俺の世界から姿を消したんだ。
戻って欲しいとか、寧ろ俺を連れて行けとか、そんな餓鬼縋りは御免蒙る。
あの日を境に、俺の記憶から奴は影すらも置かなくなった。
「死に際は昔の事思い出すって言うからな」
別に今から戦に行くわけでも喧嘩おっぱじめに行くわけでもないけど。寧ろ二度寝しようとしてるからね。その後は甘味処行ってパフェ食って、帰りにジャンプ買って即行ソファーにダイブ。
「……死に際が何だ?」
布擦れの音に混じり、寝起きの擦れた声がポツリ。
あら起きちゃったのなんてふざけ気味に言ってやったら不機嫌を顔面に書いた様な顔で睨まれた。それに押されながらも何食わぬ顔で側に寄り頬にキス。寝起きの体は温かくていい。
「逸らすのか?」
「いやいや、」
「何だよ」
「朝から眉間に皺寄せるなんて辛くない?」
「お前のせいだ」
不貞腐れた顔で首筋に顔を埋める男。
噛み付く様に深く唇を宛がい貪る。昨晩の情事なんて無かったの如く求められ、体内に残る白濁がジワリ準備とばかりに垂れてきた。
「……多串くん、若いね」
「そう年は変わんねーだろ」
「変わるよ。銀さん体力の限界ー」
「なら動かなければいい。俺は勝手にさせてもらう」
そう言うや否やろくに慣らしもせずに昂りを捻じ込まれた。ほんの数時間前に散々荒らされたそこは裂けるどころか貪欲に喰らいついて奥へ誘う。皮膚がぶつかる音を聞きながら、もっと深くへと足を開き導いて。それに気分を悪くしたのか土方はそれ以上に股を割り打ち付けてきた。
うん、激しく求められるのは嫌いじゃない。そう、激しく。でも君は優しいね。優しいのかな、寧ろヘタレ?苦しそうな顔したら乱暴な手は止むもんね。うん、へたれだ。
アイツはね、俺が痛がろうが苦しもうが関係ないって感じだったんだ。キツかったなぁ、泣いたけど止めないからね。泣いた方が喜んでたし。
永い様で短かった共同体。同じ道を歩み互いに汚れ互いに慰め合い、一緒に日の目を見ようと背を預け誓ったあの瞬間は刀諸共葬り去った。
「考え事なんて余裕じゃねーか」
そうだよ。まだまだ余裕なんだ。お前の抱き方じゃ俺は満足できない。
あの夢だって俺が望んで見たのかも知れない。
そんな甘っちょろい抱き方じゃ俺は満足しないんだよって。
なあ、お前はそう言いたいんだろ?
「た…か、」
「その名を言うな」
口許に手を宛がわれた。それも乱暴に、力一杯。
「―――ッ!」
苦しい、苦しい、あの時と同じ圧迫感。
心地良い、満たされる、獣の様な眸。
「良い眼だな」
眼球目掛け土方の舌が降りてくる。
無意識に眼を閉じた自分に苛立ちが襲う。
「足りない」
「あ?」
「全然足りないよ」
「……上等」
そう、そうやって乱暴に扱ってよ。
もう夢なんて見ないようにさ、お前だけで満たされる様に、お願い。
アイツは俺の世界から姿を消したんだ。
変わりにお前が俺の世界の中心になった。
「忘れさせてよ」
夢で会えた、それだけで満たされる。
そんな少女じみた言葉吐く位なら、
「なぁ、もっと酷くして」
いっその事、頭ん中ぐちゃぐちゃに掻き回して言葉なんて話せない様にしてくれよ。
End
土方は銀さん大好きだから乱暴は嫌なんです。でも銀さんは優しさなんて求めてない。銀さんの頭にチラつく高杉をどうにか消したくて必死に抱く土方。それに満足な銀さん。
簡単に言えばそんな話。
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