普段は人の気配も無い無色の空間に、布の擦れる音と鼻に掛かった甘い声が部屋を淡く染め始めていた。
真昼間からの行為。
ちゅ、ちゅ、とリズムよく聞こえる音。
「冬の肌、柔らかくて気持ちええ」
男は自分の半分も満たない小さな体を懐に収め、衣服も纏わず互いの体温を確かめ合っていた。
「お前はゴツゴツしてて気持ちよくない」
「いつも気持ち良え言うてるやん」
「っ!それは別の意味で……って言わせるな!」
「プッ……冬ってほんまに可愛え」
言いながら、男は小さな唇にキスを落とす。少年も慣れたもので、舌を器用に絡めて唇に吸い付いて、決められていたかのようなスムーズな動きで要求に答える。
名残惜しそうに唇を離したと思いきや、男は軽い口付けを体の至る所へ鏤め花を咲かせて微笑んで。
「見られたらどうすんだよ……」
腰の辺りに顔を埋める男。
少年は小さな溜息と共に、小突く様に拳を落とした。
「判らんかな〜。ワザと付けてんねんで?」
「あ?」
「痕付けたらダメって言うんなら……」
そこで一旦言葉を止め。
ニタリ、顔を歪ませた狐が一匹。
ベロリと自身の指を舐め、少年の蕾へと静かに添えた。
「っ…んあっっ」
くちゅりくちゅりと粘着質な音を響かせて、自身の物を受け入れ易い様に指の数を増やし、中を解した。
時折、痛がる素振りを見せる少年であったが、段々と押し寄せてくる快楽にそろそろ我慢の限界。
「市丸っ……い…くっ」
「ええよ。但し、僕のを咥えてからな」
中を掻き回していた指を抜き取り、盛った雄を一気に挿入させた。
「ああぁっ、はっ…んあっ」
唐突な圧迫感に、慣れたとはいえ顔が歪む。
「冬、力抜いて」
「あ…ああっ…ふぁっ」
閉じた瞳からボロボロと涙を溢し、それでも必死にしがみ付いて来る少年。
愛おしくて愛おしくて頬に何度もキスを落とした。
「動くで?」
「う…ん」
返事を聞いて、ゆっくりと律動を開始する。
「あぁっ…だめっ…市、丸っ」
「…しゃあないなぁ」
殆ど動いては無いのだけれど。
先程、限界を訴えた体は蜜を溢し震えていた。
「ひあ、ああぁぁっ!」
許しが出た途端大量の白濁を放った少年は、ハァハァと荒い呼吸で余韻に浸っている。その姿は市丸を欲情させるのに十分過ぎるほど効果的で。
ズクリ、少年の中で市丸の雄が容量を増した。
「じゃ、次は僕の番」
「え…。あっ…やぁっ、ああっっ」
長い、長い行為が終わって、ぐったりと布団に寝そべる少年。
その横には満足げな笑みを見せる狐。
「馬鹿……やり過ぎだ」
「そう?僕はまだ足りひん位やで?」
「なっ?!」
眉間の皺を深くして、呆れた様に口を開ける日番谷。
「冬の体に痕付けて、僕のモンやて印付けるからこれで収まるんよ?」
「はあ?」
「せやから、痕付けたら駄目って言うんなら動けんくなるまで離さへんし」
「……っ」
言い終わると同時にキスをして、耳まで真っ赤に染まる少年を覗き込む。
逃げる様に顔を反らされるが、その行動全てが可愛くて仕方が無い。
「また痕付けさせてな」
「……目立たないトコにしろよ」
「さぁ、どないしよか」
意地悪く言いながら、男は少年の体にくっきりと浮ぶ桃色の痕を愛おしそうに指でなぞった。
End
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