ずっと、

一緒にいようね。

貴方の温もり



暖かな日差しとは裏腹に、過ぎ行く風はひんやりと冷たい。
ここ、靜霊廷も季節は秋へと移ろい紅葉も見物となった。時折聞こえる虫の音も季節の変化と共に輝きを増す。
湿気のうっとおしさも一段落した死神達は衣替えに忙しい毎日。十番隊も例外ではなく、今まさに衣替えの真っ最中。





「松本ー!」

執務室に響く大きな怒鳴り声。

「そんな怒んないで下さいよ〜」
「お前が怒らせてんだろっ!」

怒りが治まる様子も無く、この小さな隊長は大きな瞳をかっ開き睨み上げる。

「そんなに怒ったら折角の美貌が台無しですよ?」

一方、黄金色の髪をさらりと靡かせた副官は反省する事は無く、寧ろこの生真面目な少年を逆撫でて遊んでいる様だ。

「男に美貌もへったくれもねーだろっ!!」

本日最大の噴火。と、後方からクスクスと笑う声が聞こえてきた。

「十番隊は相変らず賑やかだね」

声の方へと視線を変えれば、何時も通りの穏やかな表情の藍染が佇んでいて。

「今は取り込み中だ。急ぎの用なのか?」
「おや、冷たいね」

眉間の皺を一層深くした日番谷をさらりとかわし、平然と中に入ってきた。

「取り込み中…と言ったんだが?」
「まぁまぁ。それより何だい?この散らかり様は」

藍染は腕を組み、辺りをきょろきょろと見渡す。

床一面に散らばった書類。
壁に寄せられた執務机とソファー。
そして、何より一番目を引くのが、部屋の中央にどっかりと置かれた…

「これは…炬燵かな?」
「あぁ。俺の居ない間にコイツが勝手にな」

ギロリと横で小さくなっている副官を冷めた目で睨む。それに気付いた本人は、誤解をされたら困ると言った感じで口を挟んできた。

「隊長が寒いの嫌がるから私がわざわざ用意したんでしょ!」
「だからって何でここなんだよっ!」
「一日の中で一番居るのが執務室だからです!」
「執務室は仕事をする所だろっ!」
「休憩の時に使えばいいじゃないですかっ!」

まるで子供の大喧嘩。
口を挟めばとばっちりがくる。それだけは勘弁。が、しかし…

「毎度休憩を取ってるのはお前だけだ!」
「ひっどーいいッッ!隊長だってお茶飲んでるじゃないですか!」
「茶を飲むのと休憩と関係ない!」

徐々に執務室全体の雲行きが怪しくなる。ここら辺で止めておけばいいものを、根っからの真面目君な日番谷は、松本の意見を完全否定して尚も文句を垂れる垂れる。

「……私が折角隊長のためを思って準備したのに…」
「おい…」
「……分かりました。其処まで言うなら、勝手にして下さいっ」

何を言っても聞かない日番谷に苛立ちが爆発した松本は、捨て台詞を吐き部屋を飛び出していった。



「あらら。怒らせちゃった」
「うるせー…」

残された日番谷は、腕を組み大きな溜息と共に執務椅子へと腰を落とす。

「散らかすだけ散らかしやがって…」

ポリポリと乱暴に髪を掻きながら、部屋を見渡して。

「片付け大変そうだね」
「そう思うなら手伝え」
「別に構わないけど……ただは嫌だな」

眼鏡をきらりと光らせ藍染がこちらへ歩み寄る。

「何だよ…今さら金が欲しいとか言うなよ?」
「いやいや、金じゃなくて…ね」
「――っっ?!」

俺の横へと着いたと思った途端、下半身に違和感が……。

「っ何処触ってんだよ!」
「何処って…日番谷君、こうでもしないと僕の欲しいもの分からないでしょ?」
「馬鹿やろっ、盛んなっっ」

日番谷の小さな体は、藍染の大きな胸にスッポリと納まっていた。
時折意地悪に下部に当てた手を動かすと、敏感な少年はピクリと肩を揺らす。
それが面白かったのか、藍染は軽く触れていただけだった手を強く押し当てた。

「ぅあっ…」
「おや?感じてるのかい?」
「やだっ…止め」
「そんな可愛い声を聞いたら…止まらないよ」

後ろから覆い被さる様にして抱き締めていた体制をクルリと回転させ、その可愛い唇へキスを落とす。深くはせず、浅いキス。それだけなのに、この小さな少年の瞳は潤み、頬は朱に染まる。

「愛してる…」
「藍染…」

そのままドサリと床へと押し倒し、愛しい少年を組み敷く。

「駄目っ…人が来るっ」
「気にしないさ」
「片付けも終ってないだろっ」
「後ですればいい」

焦る日番谷の必死な制止を無視して、藍染は少年の白い首筋をなぞる様に舌を這わす。
弱い場所ばかりを執拗に刺激しながら、ゆっくりと。我慢が出来なかったのであろう、少年の口から甘い甘い喘ぎ声。

「いやっ…あぁっ」
「いい声だ…」

真昼間からの事情とは言え、こんな声を聞かされれば誰だって興奮する。
もっと声が聞きたくて、藍染は動かす手を休めず、首筋を舐める舌を最も弱い耳の裏へ持っていく。が、僕の聞きたい声は一向に聞こえて来ず。

「やっ…約束っっ」
「…ん?」

代わりに発せられた一言。
見れば、真っ赤な顔をした少年が何かを言おうと口をパクパクさせている。

「なんだい?聞こえないよ?」
「っ手、止めてっ!」
「どうして?」
「お願いっ」

余りに真剣にお願いをするもんだから、素直に言う事を聞いてやり手を下腹部から遠ざける。

「片付けたらって…約束したろっ」
「僕は返事を聞いてないと思うんだけど?」

ちょっと意地悪に、止めていた手も動かして。

「するっ、するから!!ここはやだぁっ」
「……約束だよ」

思惑通りの反応に、藍染の眼鏡がキラリと輝きを増した。





日番谷が約束をした事で、一安心の藍染は体を起こし溜息を付く。そして動けずに居た日番谷の体を抱え上げ、ストンと床へ降ろし、ただ呆然と立ち竦む少年の髪を撫でてやる。ふわふわなねこっ毛が心地良い。

「さ、片付けしようか」
「…うん」

先ずは床に散らばった書類を掻き集め、壁に寄せてある執務机を元に戻す。
そして最後に、

「炬燵…どうしよっか」
「ここには置いとけねーよ…」

だって、あれだけ文句を言っといてやっぱり置きました。なんて、格好悪い事この上ない。

「じゃ、日番谷君の部屋にでも持っていくかい?」
「……うぅ」
「仕方が無いだろう?松本君に持って行かせるのかい?」
「それは…」
「決まりだね」

ぱんっと手と手を叩き、藍染はいそいそと準備を始め出したそんな時、

「冬獅郎〜居るか〜?」

廊下から響く賑やかな声。

「は?俺?」

自分の名をでかい声で呼ばれ、驚きながら声の主を探す。

「冬獅郎っっ!」

開かれた襖から現れたのは、満面の笑みを纏った浮竹だった。その手には、毎度の事ながら山盛りのお菓子。

「浮竹…俺は餓鬼じゃねーんだ」
「お?生意気だぞっ!反抗期か?」
「……おい」

この男は何かに付けお菓子を持って日番谷の元へ遊びに来る。自分は日番谷の父親気取りなのか如何なのか…何を言ってもサラリと返す姿は、藍染も驚くほどだ。
今回も話を逸らされイライラを募らせる少年。

「藍染…来てたのか…」
「どうも」

漸く気付いたのか、可愛い息子の後ろにいた強敵に僅かに浮竹の表情が曇る。負けじと藍染の表情も濁る。
この二人は仲が悪い。理由は……言うまでもないか…。
とにかく、早く静かに休みたい。今の俺はその事で頭がいっぱいだった。

「冬獅郎と二人で何をしてたのかな?」
「貴方に言う事ではないさ」
「言えない様な事をしてたのか」
「さあ?どうかな」

また始まったよ…。バカオヤジ共のバカ喧嘩が。日番谷はもう慣れましたと言わんばかりに溜息を吐き捨て、黙って傍観していた。
一向に終る気配の無い痴話喧嘩。こっちだって暇じゃないんだ。部屋の中央で睨み合われたら何も出来ない。面倒だけど…止めに入るか…。

「お〜い。そろそろ終りにしねぇ?」
「止めないでくれ冬獅郎っ!」
「そうだよ。いい加減決着をつけないとね」

無理だった。
じゃ、暇だし出て行くか…。
そう思い、部屋の出口へと足を進めた。

進めた…よな?あれ?体が宙に浮いてますけど?俺、空飛べたっけ?

「こら、日番谷君。まだ片付けは済んでないよ?」
「あ、藍染」

未だ口喧嘩をしているもんだと思っていたのに、今の俺はネコのように襟を抓まれ持ち上げられていた。

「冬獅郎っっ?!おい藍染、乱暴はよせっ!」

浮竹が慌てて俺を抱え降ろした。

「怖かったな〜冬獅郎。さ、私の部屋に行こう!現世の珍しい和菓子があるぞ」
「え!本当?!」

珍しいと言われたら食べてみたい。そう、素直に言っただけ。

「日番谷君…約束、忘れたのかい?」
「…忘れてた」
「で、如何するのかな?僕と彼、どっちに付いてくの?」

何だろう…。多分だけど…怒ってるよね?
お菓子は食べたいけど…藍染を怒らせたら怖いし…約束を破るのはおれ自身が嫌だ。

「……浮竹、今から予定があるんだ。また今度誘ってくれ」
「そうか…分かったよ。冬獅郎が言うんじゃ仕方が無い」

ションボリと肩を落として浮竹は部屋を出て行った。本当、何しに来たんだか…。
予定が大幅にずれてしまったぜ…。










その後、黙り込んでしまった藍染ではあったが、片付けはスムーズに進み、執務室はすっきり元通りとなった。で、最後に炬燵を俺の部屋に持って行くだけ。
藍染は軽々と本体を運び、俺は後ろから布団を抱え付いていく。先を歩く藍染の背中が無言で語りかけてくる。『怒ってます』と。身震いをしながらも部屋に着いた二人は、炬燵を組み直し漸く一息ついた。





「さ、片付けも済んだし…」

暫くの沈黙の後、藍染が口にした一言に俺の心臓はドキリと跳ね上がった。
約束の時間が来た……別に嫌なわけでは無いのだけれど、変に緊張して体がちっとも動かない。
ギシリ…畳の軋む音。藍染がゆっくりと此方に向かい歩いてくる。そして、俺の前で立ち止まり、

「帰るよ」

え…?帰るって何?約束は?どうしてそんな目で俺を見るの?

思いもしなかった藍染の一言に、日番谷はただ呆然と見上げる事しか出来ないでいた。
そうこうしている間に彼は出口へと向かい、振り返る事無く出て行ってしまった。

「藍染…」

俺の口からやっと出た一言。今度はズキリと心臓が軋んだ。










どれ位の時間がたったのか、未だ身動きの取れない体に呆れてしまう。

「辛そうな顔してた…」

それは今の俺も同じなのだけれど。
追いかけるほどの勇気は無くて、
でも頭の中は藍染の事でいっぱいいっぱい。結局は身動き取れない事に苛立ちが増す。
今までずっと優しかった藍染。あんな目をした事なんて一度も無い。
俺がさせたのかな…
考えれば考えるほど分からなくなって。ポタリ、無意識に出た涙。

「藍染…寂しいよ」

横を見れば炬燵。だが、今の俺から見ればちっとも暖かそうではなくて。










仕事熱心な日番谷には珍しく、あの時から一歩も外には出ず部屋に居た。
時が経つ事、数刻。元々、人気の少ない隊主室近辺。賑やかな声はおろか、人の歩く音さえしない。しん…と静まり返った一人の部屋。
外は刻々と夕暮れが始まり、紅を侵食する闇がとても綺麗。薄らと月も出ており、今夜は満月だと知らせてくれる。

「仕事…やらなくちゃ」

重い腰を上げ立ち上げる。
隊長なんてならなければ良かった…。そんなくだらない事を思いながら執務室へ戻って行った。





「あ!シロちゃんっ!」

丁度、執務室に着いて襖に手を掛けようとしていた時、聞き覚えのある声に振り返る。

「雛森…?」

其処には俺の幼馴染が山盛りの書類を抱えて立っていて。

「どうしたの?暗い顔して」
「いや…。それより、凄い量だな」
「あ、これ?藍染隊長が九番隊にって」

――ドクン、

「そっか。気を付けてな」
「うん。じゃーねシロちゃん」

――ドクン、

「…あいつ、仕事してんのか」

名を聞いただけで心臓が飛び出しそうになった。女々しい自分が嫌になる。
走り去っていく幼馴染を目で追い、フゥと溜息を一つ。





「寒ぃー…」

執務室に入ると、そこには副官は居なかった。今日は帰る気は無いらしい。
今まで人の居なかった執務室は完全に冷えきっており、居心地が悪い。書類を手にするも、指先が冷たく能率が上がらない。

「炬燵…置いとけば良かったな」

冷えた手にハァと息を吹きかけ暖めて。仕事が手に付かなくても、動く思考回路。

「やっぱり行こう…」

そう一言呟いた日番谷は、足早に何処かへ向かい歩いていった。










ヒタリヒタリと誰も居ない廊下を一人歩く。
目的の場所へはそんなに時間は掛からないのだけれど。急ぐ心とは裏腹に足が言う事をきかない。
先程のあの顔が目の前をチラつく。如何して其処まで想うのか…自分でも分からない。
ただ、側に居てほしい人が居ない事。
俺は寂しいのかもしれない。もしそうなら………本気で情けねぇ。



そうこうしているまに藍染が居るであろう五番隊執務室の前に来ていた。

「十番隊、日番谷だ。藍染は居るか?」

襖の向こうからパタパタと駆け寄る音がする。

「シロちゃん?」

案の定出てきたのは副官の雛森。

「悪いな。藍染に用があるんだが」
「藍染隊長ならもう帰ったわよ?」
「え…でもまだ執務時間だろ?」
「そうなんだけど…今日の分全部終らせたしって」
「……分かった」

またね〜と手を振る幼馴染に軽く手を挙げ、俺はそのまま藍染の居る隊主室へ向う。



隊主室に着けば部屋の明かりは灯っており、中に人が居る事を知らせてくれる。

「藍染…居るんだろ?」

返事が無い…

「藍染…」

何度呼んでも返事は返ってこず。でも居る事は間違いない。俺は迷わず、襖に手を掛けた

「……待ってたよ」
「っ!?」

中へ一歩足を踏み入れた途端、大きな腕に後ろから抱き締められた。強く抱き締められている事もあって、振り返ることは出来ない。回された腕が温かい。
驚きよりも、寧ろ安心に近い感情が俺を支配した。

「何で返事しなかったんだ…」
「さぁ?」
「俺を馬鹿にしてんのか」
「してないよ…」

――ドサッッ

「藍染…」
「愛してる、冬獅郎」
「嘘吐き…」
「おや?酷いね」

床へと押し倒され身動きを封じられた。
目の前に藍染の顔。会いたくて会いたくて、嫌われたんじゃないかって不安で…でも、今目の前に居るコイツは笑っていて。
なんだか目頭が熱くなってきた。

「…なんで泣くんだい」
「馬鹿…」

涙が止まらない。腕で必死に隠しても、溢れ出る雫は頬を伝い落ちてゆく。

「その涙は僕のせい?」
「違う」

泣いてる顔を見られたくなくて、そっぽを向けば困った表情の藍染。

――チュ。

「やっ…なにっ」

突然耳元にキスをされ、くすぐったくて縮こまる。

――チュ、チュッ。

「やだっ、くすぐったい」
「…捕まえた」

丁度顔を上げた時だった。藍染の大きな手に俺の顔は固定されて、眼鏡の奥に潜む優しい瞳。
目が…逸らせない。

「ん…ふぅっ…」

重なり合う唇。
俺の頬を掴んだまま、深く舌を突き入れ、呼吸が上手くできない俺は何とか逃れようと必死にもがいてはみるものの、直ぐに舌を絡め取られ、更に深く歯列をなぞり執拗に攻められる。
飲み込みきれない唾液が顎を伝い、畳へ落ちた。



気が遠くなるほどの口付けを交わし、名残惜しそうに唇を離す。未だ藍染の手は俺の頬に宛がわれていて、透明に線を描く雫は熱い吐息に掻き消された。

「その涙は僕のせい?」

再度同じ言葉を繰り返す。先程と違い、少し真面目に。

「……そうだよ」
「それは良かった」

返ってきたのは不思議な返事。
泣かせたのはお前だって言ってるのに、良かったなんて。つい眉間に皺が寄る。

「良くないだろ…」

釈然としないまま返した言葉。

「良かったよ。それだけ僕を想ってるって事でしょ?」
「――っ!?」

予想外の一言に、頬を真っ赤に染める少年。余りの可愛さについ口元が緩んでしまう。

「君は素直で良い子だ」
「餓鬼扱いすんな」
「褒め言葉だよ?」
「煩いっ」
「やれやれ…」

呆れたように溜息を一つ付いた藍染は、漸く俺から手を離し起き上がる。手が離れた瞬間、冷たい風が頬を掠める。
その感覚が寂しくて、離れる体が切なくて、俺は無意識に手を伸ばしていた。

「や…離れないで」

ふわふわと空を切る両腕。行き場をさ迷いゆらゆらと。

「ほら、おいで」

両手を捕まれ引き起こされる。そのまま膝に座らされ、抱き締められて。

暖かい…

その温もりをずっと感じていたくて、離れない様に腕を回す。

「甘えん坊だね」
「嫌か?」
「そんな事は無いよ。ただ…」
「ただ?」

その言葉を聞く前に、藍染は俺の脇に手を居れ抱きつく体を引き離した。

「藍染?」

膝の上に乗っている事もあり、今の俺の目線はコイツと一緒。目が合った瞬間、藍染の口から出た言葉、

「…約束の時間、始めようか」

俺の心臓はドクンと音を立て高鳴った。と同時に顔全体が熱でもあるんじゃないかと思うほど熱くなった。

「優しくしろよ…」
「努力するよ」





「あっ…ぅんっ…」

ぴちゃぴちゃと水音の響く室内。それと共に聞こえる甘い甘い嬌声。
日番谷の下腹部へ顔を埋めている藍染は、その音と声を楽しんでいるらしい。卑猥な音を立て、先端を愛でるように舐め上げれば期待通りの甘い声が返ってきて。

「良い声だ」

低く呟かれた一言。ゾクッと体が震える。

「冬獅郎のここ、甘くて美味しいよ」
「やめっ…はずかし…っ」
「可愛いなぁ…苛めたくなっちゃうじゃないか」
「ひゃっっ――?!」

もう既に全身を露にしている日番谷の秘部を、腰が浮くまで持ち上げ、更に深く銜え込む。

「あっ、あぁっ…いやっ」

程なくしてふるふると小刻みに震え出す小さな体。

「やっ…藍染っもぅだめ…っ」

愛しいこの子の、可愛い合図。
緩む表情を何とか堪え、絶頂を促す。

「いってもいいよ」

カリッ、小さな先端を甘噛みして。

「ふあっ…あぁぁぁっっ」

一際高い声を上げた少年は呆気なく精を放つ。藍染はそれを零す事無く飲み干した。



達したばかりの少年は息も荒げに横たわる。その姿に欲情して。

「冬獅郎、こっち座って」

グッタリと力なく起き上がった少年を膝の上に乗せてやり、肩に顔を埋めさせる。

――クチュッ…

「んぁっ…あ…」

下腹部に奔る圧迫感。突然の事に少年はビクリと体を震わせた。

「凄いよ…一気に二本も入っちゃった」
「あっ…やあっっ」
「ヒクヒク動いて…もっと欲しいって言ってるよ?」
「やっ…言ってないも…っ」
「如何かな?」

――グチュッッ

「ふあぁぁっ…あっ…ひ…んっ」

日番谷の小さな蕾に収まった三本の指。
其々がバラバラな動きをして、小さな少年を翻弄する。

「あぁっ、ぅんっ…やぁっっ」

弱い箇所ばかりを執拗に攻め立てる指。もう何度も繰り返している行為。この子の良い所なんて既に分かっていて。
先程達したばかりだというのに、指を銜えた蕾はヒクヒクと絶頂を知らせる。

「またいっちゃうのかい?淫乱だなぁ」
「だめっ……やっ、ああぁぁっっ」

少年のそこから二度目の射精。それは藍染の腹部へと飛び、服を汚した。

「服を汚しちゃって…悪い子だね」
「あ…はぁっ…ご、ごめんなさっ…」

服にべっとりと付いた精液をなぞり、少年を見つめる。

「悪い子にはお仕置きだよ」
「なに…――ひっ」

突如襲い掛かった衝撃。声を上げる余裕も無く、ただ耐えた。

「あ…あ…っっ」

呼吸もままならない圧迫感。内臓を抉られたのではないかと思うほどそれは深く入ってゆく。

「この体制じゃ、可愛い顔が見えないな」

そう言うが早く、秘部を結合させたまま布団へと押し倒されてしまった。

「やっ、あぁ…っっ」

更に深く入るそれ。慣らされはしたものの、急な挿入に体が付いていかない少年は、ボロボロと涙を流し布団を濡らした。
徐々に早くなる律動。しかし、まだ慣れない少年の入り口はキュウキュウとそれを締め付けて。

「力抜かないと、キツイのは君だよ?」
「あっ、あっ…」

声が出ないのか、日番谷は首だけを横に振る。

「…可愛いな」

チュッ。頬に触れるだけのキス。それだけで少年の体から僅かながらに力が抜けた。それを合図に動かす腰を早める。

「んあっ…あぁ…っっ」
「気持ち言いかい?」
「はっ…あっ…いいっ……気持ちいいよっっ」
「いい子だ」

今度は唇へ深いキス。少年も懸命に答えようと唇を貪る。何度も何度も角度を変えて、溢れた涎を舌で掬ってやり、額にキス。藍染のそれを受け止めるだけで精一杯の少年は、それでもくすぐったいのか首を縮める。

「君は僕のものだから…他の人に付いて行っちゃ駄目だよ」

突然発せられた一言。今の俺には最後まで聞こえなくて。

「な…に…?」
「僕は心の狭い男だからね…余り嫉妬をさせないでくれ」
「藍染…」

その顔は、昼間見たあの辛そうな顔に酷く似ていて。

「ん…ごめんね…。良い子にしてるから、そんな顔しないで…」
「……約束、出来るかい?」
「うん。大好きだから…約束」
「…愛してるよ、冬獅郎」

耳元で呟かれ、ビクリと体が跳ね上がる。律動も一気に速さを増し、今日何度目かの絶頂を迎える。

「ひあっ…あ…藍染っも、いっちゃ…う」
「いいよ…僕も限界だ」

藍染は自身をギリギリまで抜くと、一気に最奥まで突き入た。

「あ…ああぁぁぁっっ……」

びくびくと体を痙攣させ、日番谷は精を放った。そして、日番谷が達した事を確認した藍染もまた、中へと欲を流し込んだ。










「……ん」
「起きたかい?」

重い瞼を摩り体を起こすと、そこには文机に向かい本を読んでいる藍染の姿があった。

「俺…」
「疲れて寝ちゃったんだよ」
「そっか…」

確かに、あの後の記憶が無い。だけど俺の体は綺麗にしてあり、服も着せてある。

「そのまま寝なさい」
「…うん」

ごそごそと布団を整え、日番谷は一人布団へ潜る。それを見つめ、日番谷が眠りに付いたのを確認し藍染はまた本へと視線を向けた。



どの位の時間が過ぎたのか、そろそろ本も読み終わるといったところ。突然、藍染の視線は本から自身の背中へと向けられた。

「…眠れないのかい?」

其処には眠っていると思っていた愛しい少年の姿。

「寒い…」

僕の背中にしがみ付くその姿はカタカタと震え、腰に回された腕も冷たい。

「炬燵…こっちに持って来ればよかったね」

ポンポンと頭を撫でてやり、溜息を落とす。

「ぅうん。いらない」
「どうしてだい?寒いんだろ?」
「だって……」

もじもじと下を向く少年。しかしその口は何かを言いたげで、話しやすいようにと体の向きを変えてやり、少年を膝の上に乗せてやった。
その途端、またガバリと抱きついてきた少年。サラリとしたねこっ毛が頬を擽る。

「だって、藍染の方が暖かいから」
「冬獅郎…」

思いもしなかった一言。目を点にして、見つめるしか出来なかった。

「ね、一緒に寝よ?」

上目遣いで甘えてくる可愛い恋人。

「あぁ、そうだね」

抱きかかえ、二人仲良く布団へと潜り込む。

「おやすみ、藍染」
「おやすみ…冬獅郎」

暫くして、規則正しい寝息が藍染の耳に入ってきた。



「愛してる…」

ずっと離れないように、願いを込めて。少年を抱き締めながら、藍染も漸く眠りに付いた。

End


携帯サイトで雪梛様よりリクエスト頂きました!人生初の藍日で裏なんて……!!きゃははーーーvv

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